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読む 熊野古道・中辺路Ⅰ 第六話・高原熊野神社~一里塚跡

読む 熊野古道・中辺路Ⅰ
第六話・高原熊野神社~一里塚跡

熊野古道・中辺路Ⅰ-6

読む 熊野古道・中辺路Ⅰ

高原熊野神社を後にして、大門王子を目指します。ここは昔から大門王子の上り口にある高原の集落で、平安時代の「熊野巡覧記」にも高原村とその名が登場します。その人家の間を縫うように歩くと、前方に高原霧の里無料休憩所が見えてきました。これがその休憩所の広場から見える風景です。「一望百峰(いちぼうひゃくほう)霧の高原と言われるほどの美しい風景です。汗をかき登って来たご褒美のようでした。秋には、霧が深く立ちこめ四方の山々が島々のように頂(いただき)だけを見せる事から霧の里といわれています。今日は快晴でした。わたしはこの景色を見ながらお弁当をいただきました。「おいしいし、景色もおいしい、最高の気分」休憩所の中はと・・・・・・テーブルがあり、コースマップなどのパンフレットもいただけます。綺麗なトイレもありました。高原霧の里無料休憩所を後にして大門王子へと向かいます。ここからはまた、急な上り坂で、左右には、昔旅籠が何件も並んでいたと言う旧旅籠通りです。距離道しるべ8までは、すべりやすい石畳の登り坂が続きます。旧旅籠、はま屋とあります。この道を左に入ると、現在も営業している「熊野古道霧の里たかはら」現在の旅籠があります。もとの順路にもどって、石畳の美しい坂道を上って行きます。その昔諸国漫遊で知られる十返舎一九(じゅっぺんしゃいっく)も、この高原の道を歩き、「清姫の大蛇となりし所とて ぬたくり歩く旅の草臥(くたびれ)」という狂歌を残しています。「娘道成寺」の清姫の生まれ育った真砂(まなご)の里がこの高原村から程近い所である事から歌にしたといいます。ほんとにぬたくり歩くと言う表現が当たっている上り道です。道はこの集落の生活道路に変わる間もなく、行き止まりとなりました。左側の人家の軒下に「なかへち」のちょうちん・・・・おもてなしをしますということでしょうか。その家の前の湧き水枡で、失礼して、私は顔を洗いました。冷たくて気持ちよく生き返るような思いでした。道はここから、本格的な登りの山の道となります。この道は平安時代と変わりは無いのだろうか・・・、高原の宿で休息をとり「熊野本宮までは、あとすこし」と平安人は朝日に顔を輝かせながら歩んだのだろうか、平安人に思いをはせました。私の歩いている季節は冬、落ち葉を踏む足音が快い道です。ここからはまた、石畳の急なのぼりの道です。非常に古道情緒豊かな道で、木々のあいだより光がこぼれ、ふうふう言いながらのぼっていきます。大きな松の木を見上げて、木々のこぼれ日を身体全体で受け、心地よい道、自然と一体感が味わえる熊野古道のベストウォーキングの道の一つであるといえます。ここも本当にすばらしい道です。前方に一里塚の休憩所、おもてなしありがとうございます。今回の番組はここまでとします。次回は大門王子まで到達いたします。

熊野古道・中辺路Ⅰ 地図のご案内

熊野古道・中辺路Ⅰ

滝尻王子から大坂本王子まで

滝尻バス停→滝尻王子→不寝王子→剣ノ山経塚跡→距離道標4→高原熊野神社→一里塚跡→大門王子→十丈王子→上多和茶屋跡→大坂本王子

協力:社団法人 和歌山県観光連盟

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