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読む 鞍馬街道・鞍馬山 第六話・奥の院 魔王殿~貴船神社本宮

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第六話・奥の院 魔王殿~貴船神社本宮

鞍馬街道・鞍馬山-6

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奥の院魔王殿を後にして、貴船神社(きぶねじんじゃ)に向かいます。

ここからは急な下りの坂道を歩きます。木々に抱かれ鞍馬山の古道を歩んでいると義経公への思いが募ってきました。兄の頼朝が鎌倉で挙兵した事を聞いて、我も兄の元にはせさんじ、平家を打倒した後に、まさか兄の命を受けた藤原泰衡(やすひら)に討たれようと誰が思っただろうか、義経公は思いもよらなかったであろう・・・。その悲痛な運命を思うと目頭が熱くなりました。鞍馬山のこの道は、義経公の希望の道であり、運命の道です。現在の私たちにとっては、この道は義経公の思いをたどる道です。そして、森林浴と健康ウォーキングの道です。手すりをつたって歩かれる方、その方をサポートされる方、そして元気一杯に歩かれる方、ご夫婦、恋人、仲間連れ、いろんな方が訪れ、山々の自然と歴史に抱かれて歩む道です。

前方に清流音とともに鞍馬寺の西の門が見えてきました。門をくぐると一段と清流の音が大きく響き渡っています。貴船川です。橋をわたって道に出ると、貴船の街です。貴船の川床(かわどこ)は、川の真上に桟敷が設けられていて、まるで天然のクーラーのようです。ここは「京の奥座敷」と呼ばれています。

しばらく歩くと、前方に貴船神社の鳥居が見えてきました。狭い道ですので車のゆききも大変そうです。貴船神社の鳥居をくぐって本宮参道の美しい石段を登ります。貴船神社は水の神である高(たか)オカミノ神を祀り、古代の祈雨(きう)85座の一座とされ、雨乞いの神として信仰されてきました。水の神様として、全国の料理・調理業や水を扱う商売の人々から信仰を集めています。

山門をくぐると本宮です。ささに沢山の願い事が書かれた短冊がむつびつけられています。ここには昔、和泉式部が参拝した時の歌が残っています。

ものおもえば 沢の蛍も わが身より あくがれいづる 魂(たま)かとぞみる

和泉式部の時代よりここは、縁結びの神としての信仰もあり、現在は若いカップルや女性で賑わっています。本殿の前には水占いができる「水占いユ庭(にわ)」があります。境内の霊泉におみくじを浮かべると文字が浮かび上がります。この女性は「吉」でした。よかつた。また一方で、縁切りの神としても信仰され、丑の刻参りでも有名です。そして、貴船神社には、古来より晴れを願う時には白馬が、雨を願う時には黒馬(くろうま)が奉納され、このことから絵馬の発祥の神社と言われています。人々のお祈りする姿が絶えません。

次回は貴船神社奥宮までの道を紹介します。本シリーズ最終番組です。