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読む 熊野古道・中辺路Ⅰ 第三話・不寝王子~剣ノ山経塚跡

読む 熊野古道・中辺路Ⅰ
第三話・不寝王子~剣ノ山経塚跡

熊野古道・中辺路Ⅰ-3

読む 熊野古道・中辺路Ⅰ

不寝(ねず)王子を後にして、剣の山経塚(つるぎのやまきょうづか)跡を目指します。剣山(つるぎやま)の山腹をよじ登ってきました。熊野の入り口、八百万(よろず)の神々が祀られていたという、その急な斜面を九十九(つくも)折に登ってきたのですが、ちょうど不寝(ねず)王子あたりで一服ということでしょうか。そこからは、すこしなだらかな道です。ここの道は熊野詣で賑わった平安時代の風情が残る道で、非常に古道情緒豊かな道です。険しい道ですが、熊野古道のベストウォーキングの道の一つであるといえます。本当にすばらしい道です。木々のこもれ日の中を、石と木の根が這い出ている道を慎重に歩き、神々にまるで祈るかのように、深い息遣いで這い上がっていきます。「いやす、みたす、よみがえる」熊野古道の真髄の一旦がここにはあります。額を流れる汗の中に、満たされる快感が身体をかけめぐりました。距離道しるべ1に着きました。ちょうど滝尻王子からここが、500メートル歩きましたよという標識です。まだまだ登りの道が続きます。こころを試されているかのようです。平安貴族もさぞかしびっくりした事でしょう。「話には聞いていたがこれほどとは・・しかしこれが熊野である」と・・・・・・・。道は、真ん中に木々が仁王立ちの様に立ち、根っこが幾重にも重なる道です。木々が話しかけてきます「熊野へはまだ入ったばかり、心に強く念じ、気をつけて行かれよ、この先に熊野本宮大社が待っていらっしゃるぞ」と・・・・・・。道は、表情を一変させました。道一面に落ち葉、ふかふか絨毯のように柔らかい平坦な道です。これも熊野古道の趣の道、息を整え、木々のこぼれ日の中、心よさのきわみです。今度は石の少ない土道を下り・・・・・、そしてまた、木の根の登りの道を歩みます。ここは、見事に石で組まれた段の坂。感心しました。熊野古道中辺路のこの道は、いままで歩いた歴史街道・古道の道のあらゆる表情を一度に味あわせてくれる道です。その道をゆっくり登ります。道中には、休憩用に素朴な丸太のベンチ、すこし朽ちてはいるけれど、おもてなしに感謝です。そのベンチですこし休憩し、水分補給しました。この時点で、私は500ミリリットルのスポーツドリンクを3本飲んでいました。丸太のベンチに元気をいただいて、出発です。すこし歩いていると・距離道しるべ2に着きました。ちょうど滝尻王子からここが、1キロメートル歩きましたよという標識です。経塚が見えてきました。ここ剣の山の上は、古くから神聖な場所とされていいて、ここから熊野本宮にかけて九品(くほん)の門が建ち、ここには最初の下品下生(げほんげじょう)の門があったといわれています。この剣の山経塚跡は経典を壺に収めて地中に埋めたところです。盗掘され、ここから出土した壺だけが、古道館に展示されています。次回は距離道しるべ4までの道です

熊野古道・中辺路Ⅰ 地図のご案内

熊野古道・中辺路Ⅰ

滝尻王子から大坂本王子まで

滝尻バス停→滝尻王子→不寝王子→剣ノ山経塚跡→距離道標4→高原熊野神社→一里塚跡→大門王子→十丈王子→上多和茶屋跡→大坂本王子

協力:社団法人 和歌山県観光連盟

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