読む 熊野古道・中辺路Ⅰ
第五話・距離道標4~高原熊野神社
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熊野古道中辺路は、滝尻王子から、八百万(やおよろず)の神々が祀られていたという剣山(つるぎやま)の山腹を九十九(つくも)折によじ登り、不寝(ねず)王子、剣の山経塚をすぎるとそこからは、すこしなだらかな道で、息をととのえました。距離道しるべ4からは下り道が多くなります。高原熊野神社を目指します。ここの道は、山の道でありながら、くだりの坂を木と土の段で組まれていて、歩きやすい道です。ここは石畳と、落ち葉の風情豊かな道です。突然急なくだりの石畳の道です。階段の道を降りきると旧の国道に出ます。ここがわかりづらいポイントで、この舗装された道を横切ると、山の斜面に標識があります。腐葉土をつくるため、落ち葉を拾い集めているご夫婦に会いました。熊野古道は、ここを入っていきます。ここからまた石段を登ります。登っては下る。下っては登る。海の波のように繰り返しながら熊野本宮大社に向かいます。足の裏に眼があるなら、さぞかし眼を丸くしているだろう、「何と美しい石畳なのだろう」と、急に明るくなるとその中に距離道しるべ5が眼にはいってきました。その横に旧道の国道が走っていて、この風景はそこから見た熊野の山並みです。ここも、木と土で組まれた、足にやさしい道です。しばらく歩くと、目の前に針地蔵尊が眼にはいってきました。「歯の守り神」として地元の人達に尊ばれています。わたしにもご利益があるように祈りました。ここからはまた、急なのぼりの道です。非常に古道情緒豊かな道で、木々のあいだより光がこぼれ、ふうふう言いながらよじのぼっていきます。登り終えると、平坦な道。うれしくなり思わず「ああ平坦な道だ!」と独り言。木々のこぼれ日が心地よい道、自然と一体感が味わえる熊野古道のベストウォーキングの道の一つであるといえます。ここも本当にすばらしい道です。しかし、また急な登りの道。電波塔につきました。ここがこの辺では一番の高さのところです。道は開けていました。はじめての人家が見えてきました。ここから、しばらくは舗装された車も通る里道となります。そこからの山並みは熊野古道ならではの風景です。舗装されたみちを下っていくと、右前方に高原熊野神社が見えてきました。「熊野巡覧記」には「高原村の中ほどに高原の王子があるけれど、これが王子なのかどうかわからない」とあり、この高原の王子らしき社がいまの高原熊野神社とあります。高原の地名を読み込んだ和歌に「たかはらや みねよりいづる月かけは 千年の松をてらすなり」とあり、今は大きな楠が神社を見守っています。次回は大門王子までの道です。
熊野古道・中辺路Ⅰ 地図のご案内
滝尻王子から大坂本王子まで
滝尻バス停→滝尻王子→不寝王子→剣ノ山経塚跡→距離道標4→高原熊野神社→一里塚跡→大門王子→十丈王子→上多和茶屋跡→大坂本王子
協力:社団法人 和歌山県観光連盟
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